東証:TOPIXの算出対象を変更へ 全株式から「浮動株」に

東京証券取引所は26日、「TOPIX」(東証株価指数)の算出対象を、早ければ05年度から段階的に変更する、との方針を発表した。現在のTOPIXは上場株式すべてを算出対象としているが、この対象を、持ち合い株式など市場で取引されない固定株式を差し引いた、「浮動株」に変更する方針だ。

 上場企業の株式は、時価総額が仮に同じ程度でも、実際に市場に流通している株式の比率(浮動株比率)は、株式持ち合いや親企業の有無などによって、割合が大きく異なるのが実態だ。

 TOPIXに連動して資産を配分する「インデックス運用」を行う機関投資家が増えている中で、浮動株比率の低い銘柄は機関投資家の大口買いで需給が一時的にひっ迫し、株価が乱高下しやすくなる恐れが指摘されていた。

 このため東証は、大株主上位10位までの持ち株や自社保有株などを「固定株」と見なし、上場株式数から固定株を差し引いた「浮動株」を、指数算出のベースにすることにした。東証によると、インデックス運用が先に普及した欧米などでは株価指数の浮動株化は進んでおり、世界的な流れに合わせる意味合いもあるという。

 ただ、大株主でも投資信託投資ファンドなどの保有株を固定株と見なせるかなど、制度の詳細は未確定の状態。現在のTOPIXは残し、新指数を作るのかどうかも含めて機関投資家や証券会社などから意見を募り、6月下旬に具体案をとりまとめる予定だ。【三島健二】

◆TOPIX(東証株価指数) 

 日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指数。算出対象は東京証券取引所1部上場の全銘柄。株式相場の値動きを的確に反映する指標として、東証が69年7月1日から発表している。現在は、各銘柄の株価に上場株式数を掛け合わせた時価総額を基準に算出している。68年1月4日の時価総額を100として、その後の時価総額の変動が連続性を持ってたどれるよう指数化しているのが特徴。