EU、米の輸出優遇税制に対抗し1日から報復関税

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20040229AT2M2900329022004.html

ブリュッセル=刀祢館久雄】欧州連合(EU)は1日、世界貿易機関WTO)が自由貿易ルール違反と認定している米国の輸出優遇税制に対抗し、米製品に報復関税をかける。報復額は2004年全体で3億ドル強にのぼり、米が是正しなければさらに増額する。WTO公認でEUが米国に報復関税を課すのは初めて。米欧間で通商を巡る緊張が高まれば、新多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)や米大統領選挙にも影響する可能性がある。

 EUの報復は年間40億ドル相当の米国の農・工業品を対象とし、まず1日から5%の関税を上乗せする。その後は毎月1%ずつ税率を加え、米が制度変更に応じなければ17%まで引き上げる。報復額は今年3月から年末までで3億1500万ドル、2005年は年間で6億6600万ドルと倍以上に増える。

 WTOは最大100%の関税上乗せを認めているが、一気に巨額の報復に踏み切れば米の態度硬化を招くとみて、EUは部分発動にとどめ「米国に早期是正を促す」(欧州委員会)方針を採用した。