【オーストラリア】労働党に逆風、NSW・QLD地方選

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040330-00000018-nna-int

27日にニューサウスウェールズ(NSW)州とクイーンズランド(QLD)州で行われた地方自治体選挙では、両州で政権を維持する労働党に逆風が吹き、無所属議員やグリーンズ(緑の党)が躍進。シドニーブリスベーン両市長選では労働党候補が敗れている。地元各紙による両市政の今後の見通しをまとめた。

シドニー市長選では、現職のNSW州下院議員であるクローバー・ムーア氏が第1位優先票の約41%を獲得。労働党のマイケル・リー候補の22%を大きく上回った。

今年に入って噴出した医療ミス問題やシドニー市内鉄道の混乱に対する市民の不満も影響したとみられる。ハワード首相は、カーNSW州首相率いる労働党政権によるシドニー市議会とサウスシドニー市議会の力づくの統合に、市民が反対票を投じたものと語っている。

シドニー市議会の10議席は、ムーア氏陣営4〜5議席労働党2〜3議席緑の党1〜2議席自由党議席で構成される見通し。ムーア陣営が4議席にとどまった場合は、緑の党との連立を組む可能性が高い。

一方、労働党が13年間守ってきたブリスベーン市長の座は、自由党のキャンベル・ニューマン氏が奪取。アボット連邦保健相(自由党)は28日、民放テンの番組で、自由党市長の誕生を歓迎した上で、何者も無敵ではないということをハワード政権も肝に銘じなければならないと述べている。

同相はさらに、ムーア旋風の背景には、シドニー市議会を開発業者による政治献金集めの装置として利用しようとした労働党政権に対する市民の反発があると結論付けている。

シドニー・タワー再開発計画の今後

ムーア新市長就任で差し当たって注目されるのが、市内中心部のAMPセンターポイント・タワー、通称シドニー・タワーの再開発計画だ。

小売り大手ウエストフィールドは、同タワーがある敷地に高層アパート2棟と地下駐車場を建設する計画を提案。これに対して、タワー近くに主要店舗を持つデパート大手デビッド・ジョーンズなど75企業と地域住民100人から成るアクション・グループは反対を表明している。

ムーア氏は国営放送ABCに対し、過剰開発を最初のターゲットにする方針を明らかにしており、シドニー・タワーの再開発計画に反対する可能性を示唆している。

オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー紙によれば、シドニー中央ビジネス区(CBD)の開発計画をつかさどる中央シドニー計画委員会は、州政府の代表4人と地方自治体の代表3人から成り、市長が委員長を務める。開発反対派のムーア氏の就任により、今後の計画自体に影響が及ぶことも考えられる。

州政府は市議会の決定を覆す権限を持つが、実際に行使した場合は市民の反発が予想され、今後の政局にマイナスになる恐れがある。

ブリスベーンのインフラ整備に期待感

ブリスベーンの新市長に選ばれたニューマン氏は、急増する人口に対処するため、周辺道路の整備など大規模インフラ開発の必要性を訴えており、財界の期待も大きいもよう。

同市の26区のうち労働党が17、自由党が10と労働党優位なため、話し合いがこう着状態に陥る恐れもあるが、ビーティーQLD州首相(労働党)は選挙戦中から、ニューマン氏が打ち出していたブリスベーン市地下トンネル計画を支持する考えを示している。(NNA)