恐竜絶滅の原因に新説 いん石衝突で黒焦げに?

http://www.cnn.co.jp/science/CNN200410310007.html

メキシコ・ヤシコポイール(ロイター) 史上最大のミステリーと言われる恐竜絶滅の原因をめぐり、米コロラド大の研究チームがこのほど、新たな学説を発表した。いん石の衝突で発生した数百℃の熱で、陸上の生物がほとんど焼死してしまったとの説だ。

同大の大気物理学者、ブライアン・トゥーン氏らが、コンピューターを使った数学モデルから推定し、米地学会紀要に報告した。それによると、約6500万年前、メキシコ・ユカタン半島に落下したいん石は、広島に投下された原爆の100億倍ものエネルギーで、地球をしゃく熱の地獄に変えた。

落下地点周辺の生物は一瞬のうちに消え去り、カリブ海沿岸や米南部には高さ100メートルの津波が襲来。立ち上った高温の蒸気とチリは、数時間のうちにそのまま地上に降り注いだ。「空全体から炎が降って来たようなもの。世界中で陸上の恐竜が焼死した」と、トゥーン氏は説明する。やがてチリの雲が地球全体を覆い、太陽光線をさえぎってしまったため、海中のプランクトンが死滅し、生き残っていた水中の恐竜や魚類、巣穴のワニやカメなどもほぼ全滅したという。

ユカタン半島では、直径約300キロという巨大ないん石孔が見つかっている。このいん石落下の影響で太陽が雲に隠れ、恐竜絶滅の原因になったとの説は、90年代初めから盛んに唱えられてきた。トゥーン氏らの説は、それに先立つ「焼死」に重点を置いているのが特徴だ。一方、このいん石孔をめぐっては、米プリンストン大の研究チームが最近、恐竜絶滅の約30万年前にできたとの分析結果を発表している。同チームでは、別のいん石落下や度重なる火山の噴火で地球上の酸素が欠乏し、恐竜絶滅につながったと主張している。